リソゾームとは?と問われても、ミトコンドリアの様な強烈な形態学的特徴をもってイメージすることはできない。実際、教科書的なこのオルガネラに対する説明は 「50種類を越える様々な酸性加水分解酵素を含み、細胞内外の高分子を最終的に分解するオルガネラ」であり、形態学的特徴はこの定義の後にHeterogeneity という言葉で一般化されるのが常である。今まで私達の研究室でも、リソゾーム酵素の存在を指標に様々な組織、細胞、そして様々な病態においてこのオルガネラの解析を進めてきたが、Ubiquitous (どの細胞にもあって)とHeterogeneity (いろんな顔を持つ)、からさらに一歩前進することは至難であった(論文参照)。

ここでまた最初の定義に戻って考えてみると、このオルガネラを理解する一つの key pointは基質分子群の輸送(エンドサイトーシス経路やオートファジー経路などから成る、分解される運命にある分子の流れ)とリソゾーム酵素群の輸送経路との合流様式を解くことにあることが分かってくる。現在私達が進めているプロジェクトは、これらいくつかの膜輸送の流れをGFP (Green Fluorescent Protein) などを用いた技術で視覚的に捕らえ、ダイナミックな膜輸送現象の中にリソゾームシステムを理解しようとするものである。例えば、リソゾーム酵素はマンノース6リン酸受容体(MPR)によってリソゾームへ運搬されることが知られているが、GFP-MPR 融合蛋白を光学顕微鏡下に可視化すると、この分子が確かにトランスゴルジ−エンドゾーム−細胞膜間をサイクルしているのが ”見える!”(movie−準備中)。このようなシステムを巧妙に利用することにより、MPR輸送を制御している選別シグナルや細胞質因子(ARFs, AP-1,2,3, クラスリン, PI3K, etc)の真の機能を探ることができるのではないかと考えている。興味ある方、映画上映は随時可能です。

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